【相続】 相続人に行方不明者がいる場合の相続手続について

2016-11-16

遺産分割においては、まず相続人として誰がいるかを確認するところから始まります。相続人の確認は戸籍謄本を取り寄せて行います。

ただ、相続人の中には、家出をしたといったように音信不通になっている人がいる場合があります。このような場合、まずは当該相続人の所在調査を行います。戸籍の附票を取り寄せて現在の住所を確認の上、住所地の現地調査をしたり、弁護士会照会制度を利用するなどして所在調査を行います。
ですが、調査を尽くしてもその所在が判明せず、かつ、その者に財産管理人がいない場合、他の相続人は不在者の財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てることになります。不在者を除外して他の相続人だけで遺産分割協議を成立させることはできません。

この場合に申し立てる先の家庭裁判所は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所になります。不在者の住所地又は居所地が判明しない場合は、最後の住所地を管轄する家庭裁判所が申立先になります。
最後の住所地も不明である場合には、審判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。最高裁判所規則で定める地とは東京都千代田区とされていますので、東京家庭裁判所になります。

不在者の財産管理人について候補者を挙げることは必須ではありませんが、通常は申立ての際に候補者を挙げています。候補者を挙げる場合は、不在者と利害関係のない者を挙げるのが望ましいでしょう。候補者を挙げない場合は、裁判所が弁護士などの第三者を財産管理人に選任することになります。

不在者の財産管理人が選任されると、遺産分割協議はこの財産管理人を交えて行うことになります。もっとも、財産管理人の権限は、原則として管理行為に限られるので、それを超えて処分行為をする場合は家庭裁判所の許可が必要になります。遺産分割協議は処分行為に該当するため、財産管理人は協議事項につき事前に家庭裁判所の許可を得ることになります。家庭裁判所の許可が得られれば遺産分割協議が成立して終了となります。

なお、不在者の生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)は、裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされますので(普通失踪の場合は失踪期間満了時)、当該失踪者が死亡したことを前提として相続手続を進めることができます。

このように相続人に行方不明者がいる場合は、所在調査や裁判所への申立てなどの手続が必要になり、必ずしもその処理は容易ではありません。相続人に行方不明者がいるため遺産分割協議が進まないとお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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