離婚等の人事訴訟や家事調停におけるウェブ会議の活用

2025-06-10

これまで家事調停では、協議を行う期日等ではウェブ会議等を利用して手続を行うことはできるものの、ウェブ会議等を利用して離婚や離縁を内容とする調停を成立させることはできませんでした。また、人事訴訟においても、ウェブ会議等を利用して離婚や離縁を内容とする和解を成立させることはできませんでした。
しかし、近時の法改正により、人事訴訟や家事調停において、ウェブ会議を利用して離婚等の和解・調停を成立させることができるようになりました。この法改正は令和7年3月1日から施行されております。
ただし、ウェブ会議を利用することができるのは、裁判所(調停委員会が行う家事調停の場合は調停委員会)が、ウェブ会議を用いて参加することを希望する当事者や相手方の意見を聴いた上で相当と認めたときになります。また、和解や調停を成立させる最終的な段階の期日は音声だけでなく映像の送受信ができることが必要になりますので、電話で参加することはできません。

これにより、当事者は裁判所に出頭することなく手続に参加することができるようになりますので、裁判所までの出頭に要する交通費や時間の負担が軽減され、裁判制度を利用しやすくなったといえます。当事者によっては、相手方が同じ裁判所の建物内にいるだけで苦痛を感じるということもありますので、その場合は依頼した弁護士の事務所からウェブ会議に参加することで、裁判所に出頭する苦痛を減らすという対応も考えられそうです。

なお、この法改正では、人事訴訟等の家庭裁判所等における訴訟について、当事者が公開の法廷で行われる「口頭弁論」にウェブ会議を利用して参加することもできるようになりました。

〈参考URL〉
https://www.moj.go.jp/content/001431813.pdf

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