高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、頭部外傷による意識障害被害者が、意識回復後に認知障害(記憶障害・集中力障害・遂行機能障害・判断力低下・病識欠落)と人格変性(感情易変・不機嫌・攻撃性・暴言・暴力・幼稚性・多弁・自発性低下・病的嫉妬・被害妄想等)を生じ、就労が困難になる等社会復帰ができにくくなる障害のことをいいます。
一般に、脳外傷による高次脳機能障害を残した被害者には、次のような異常な傾向が見られるとされています。
(1) 知的障害(認知障害)
全般的な認知機能の障害です。
(具体例)
- 物忘れ、今見聞きしたことを記憶できない(記憶・記銘力障害)
- 注意・集中ができない(注意集中障害)
- 判断力の低下、計画的な行動や複数の行動ができない(遂行機能障害)
- 自分の障害の程度を過小評価する(病的欠落・自己洞察力の低下)
(2) 性格・人格変化(情動障害)
事故前の被害者を知る家族や友人など周囲の人間が「事故前と比べて人が変わった」と感じるような人格あるいは性格の変化が発生するため、人間関係を維持したり社会に参加することができず、他者とのコミュニケーションが困難となる障害です。
(具体例)
- 過食・過剰な動作・大声を出す等、自己抑制がきかなくなる(脱抑制)
- ちょっとしたことで感情が変わる(感情易変)
- 不機嫌・攻撃的な言動態度が増え、暴言・暴力をふるう(攻撃性)
- 自発性の低下、幼稚、羞恥心の低下
- 病的な嫉妬、被害妄想、人付き合いが悪くなる、わがままになる
- 反社会的な行動をする
高次脳機能障害は、神経系統の機能又は精神に障害を残すものとして、その内容に応じて、後遺障害1級、2級、3級、5級、7級、9級に該当する場合があります。後遺障害に該当する場合には、慰謝料等の増額の見込みが出てきます。