遺言・相続のよくあるトラブルと解決事例

遺言においては、その効力や解釈を巡ってトラブルになるケースが多いです。遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探究すべきものであり、遺言書が多数の条項からなる場合に、そのうちの特定の条項を解釈するにあたっても、単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出し、その文言を形式的に解釈するだけでは十分ではなく、遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して、遺言者の真意を探究し当該条項の趣旨を確定すべきものとされています(最判昭和58年3月18日)。
遺言の効力や解釈に争いがある場合、本来は民事訴訟によって決せられることになりますが、遺産分割調停で話し合いがまとまる可能性があれば、調停の中で解決を図ることになります。

また、遺言書が作成された当時、被相続人が認知症で遺言書を作成する能力があったのかという問題もよく起こります。このような場合は、遺言書が作成された当時の被相続人の病状の程度を調査する必要があります。

さらに、遺言書が有効であったとしても、遺言書に書かれた内容が遺留分を侵害するものである場合、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求権を行使する事例もあります。遺留分についてはまず調停で話し合いをしますが、話し合いがまとまらなければ民事訴訟で解決を図ることになります。

相続では、遺産分割協議がまとまらないというご相談が多いです。よくある問題が、相続人の一人が被相続人から生前に多額の現金の贈与を受けていたとか、被相続人の事業の発展に貢献していたという場合があります。いわゆる特別受益、寄与分の問題です。

このような場合、形式的に法定相続分どおりに遺産を分割すると不公平ですので、相続人間の公平を図るために相続分の算定の際に考慮されることになります。ただし、寄与分については、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたことが必要となりますので、寄与分の要件を満たすかを個々の事案ごとに検討していくことが必要になります。

また、よくある事例として、被相続人の生前、被相続人の銀行口座から多額の預金が引き出されており、被相続人の死亡時には預金がなくなっていたというものもあります。
やはり被相続人が認知症の場合に多く、他の相続人か、あるいは被相続人の身の回りの面倒をみていた第三者が勝手に引き出している可能性が高いです。
使途不明金がある場合は、預金を勝手に引き出した者に対して不法行為もしくは不当利得の問題として返還請求していくことになります。

さらに、相続人の一人が認知症等の理由で自分の意思を表明できないために遺産分割協議ができないという事例もあります。このような場合は、当該相続人のために成年後見申立てをして、成年後見人が遺産分割協議に参加することになります。

相続人の一部が行方不明、音信不通の場合には、まず当該相続人の住所等の調査をすることになります。調査を尽くしても住所等が判明しない場合には、当該相続人を不在者として手続を進めることになります。
具体的には、他の相続人が不在者財産管理人の選任申立てをし、不在者財産管理人を交えて遺産分割協議を行うことになります。なお、失踪宣告の要件を満たしているときには失踪宣告の申立てをすることになります。

これ以外にも遺言・相続を巡るトラブル事例は数多くあり、多種多様といえます。事案に応じた対処が必要になりますので、まずは弊事務所までお気軽にご相談ください。

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