各種法的手段について

債権回収にあたっては、まずは相手方に対して電話や手紙などで支払を催告するのが通常です。場合によっては内容証明郵便で催告することも必要です。しかし、催告しても相手方が支払わない場合、法的手段を取ることを検討しなければなりません。
金銭債権の場合、法的手段としては、①民事訴訟、②支払督促、③少額訴訟、④民事調停を利用することが考えられます(保全処分、強制執行についてはここでは省略します)。

①民事訴訟は一般的にイメージされる民事裁判のことで、裁判所に訴状や書証等を提出して審理・判決を求める手続です。通常はこの民事訴訟の手続を取ります。

②支払督促は、金銭の支払又は有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に限り、簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てて行う手続です。支払督促は書面審査なので、裁判所に行く必要はありません。
申立てに理由があると認められる場合には支払督促が発付されます。相手方が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てがなければ(異議申立てがあった場合は通常の訴訟手続に移行します)、支払督促に仮執行宣言を付してもらい強制執行の申立てをすることができます。

③少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争を解決する手続です。規模の小さな紛争を少ない時間と費用で迅速に解決することを目的としていますので、少額の債権回収の場合に適しています。少額訴訟の利用回数には制限があり、同じ裁判所に年間10回までとされています。
少額訴訟では、最初の期日までに自分の言い分と証拠を裁判所に提出しておきます。また、証拠は最初の期日にすぐに調べることができるものに制限されています。ですので、紛争の内容が複雑であるとか、調べる証人が多く1回の審理で終わらないと予想される場合は、少額訴訟以外の手続を取ることが望ましいです。
判決は原則としてその日のうちに言い渡されます。事案によっては分割払の判決等が出ることもあります。少額訴訟の判決に対しては同じ簡易裁判所に異議申立てをすることができますが、地方裁判所に控訴することはできません。なお、相手方が少額訴訟で審理することについて異議を述べた場合は通常の訴訟手続に移行します。

④民事調停は、一般市民から選ばれた調停委員が間に入り、当事者間の話し合いにより紛争の解決を図る手続です。費用は低額であり、非公開で行われるため当事者のプライバシーが守られます。
しかし、相手方が出頭しなければ話し合いができず手続打ち切りとなるのが通常ですので、相手方が裁判所に出頭しそうな人で、かつ、話し合いで解決がつく見込みがあるといった場合に利用した方が良いでしょう。

なお、債権の種類によっては民法が定める短期消滅時効にかかることもあります。例えば売掛代金債権は2年の短期消滅時効にかかります。したがいまして、債権回収においては早めに法的手続に移行するか、相手方から債務承認書を取るなどして消滅時効にかからないよう適切に対処することが必要です。

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