RSD・カウザルギーについて

RSD(reflex sympathetic dystrophy)とは、交感神経の異常な反射亢進を基盤とする疼痛、腫脹、関節拘縮などを主な症状とする病態をいいます。
何らかの原因で受傷した場合、その損傷を最小限に止めようとする人体の生理的機能によって自律神経が作用し、血管の収縮が生じ出血を抑えようとする働きが生じます。

しかし、時として自律神経が傷の回復過程と同調せずに亢進状態を持続したままの状態になるため末梢の血流が阻害され、その結果、受傷部位やその周辺の末梢各部に血液による栄養が行き渡らず組織がやせ細るために、新たな激痛が生じ、これが悪循環することとなるとされています。

これまでRSDは自律神経の異常亢進が原因とされていましたが、最近ではそれだけが原因ではないとして、CRPS(complex regional pain syndrome 複雑な原因により生成される局所的疼痛症候群)という診断名が使われるようになっており、CRPSのうち、神経損傷を伴わない疼痛をRSD(CRPSのTypeⅠ)、神経損傷を伴う疼痛をカウザルギー(CRPSのTypeⅡ)として区別するのが一般的です。

RSDについては、
①関節拘縮、
②骨の萎縮、
③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に、その程度に応じて後遺障害等級7級、9級、12級に認定される場合があります。

カウザルギーについては、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して、後遺障害等級7級、9級、12級に認定される場合があります。

後遺障害に該当する場合には慰謝料等の増額の見込みが出てきますが、被害者側の心理的・精神的要因の寄与(素因減額)が争点になることも多いです。

 

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