【相続】 被相続人の預金を使い込まれていた場合の対応について

2018-11-01

相続の案件においては、認知症だった被相続人の預金が一部の相続人によって生前に引き出されている場合がよくあります。

被相続人の生前に引き出された預金については、大きく分けて、①被相続人の了解の下に預金が払い戻されるなどして特定の相続人が贈与を受けたという特別受益の問題として主張される場合と、②被相続人の預金が無断で払い戻されて特定の相続人が取得したという、不法行為もしくは不当利得の問題として主張される場合の2つに分けられます。
しかし、被相続人が認知症だった場合、被相続人の了解なく引き出されていることが多く、預金の使途を巡って②の不法行為もしくは不当利得の問題になることが多いです。

不法行為もしくは不当利得の問題となる場合、これは民事訴訟事件であって遺産分割事件とは異なります。ですので、仮に遺産分割調停を申し立てたとしても、引き出された預金を相手方が遺産と認めて話し合いがまとまらない限り遺産分割事件では解決できず、民事訴訟を提起することになります。民事訴訟を提起する場合、大きく分けて、①相手方が預金を引き出したこと、②被相続人の病状、について立証する必要があります。

①については、金融機関の窓口で引き出されていたのであれば払戻請求書の写しの開示を受け、筆跡を確かめます。払戻請求書の筆跡と相手方の筆跡が同じであれば、相手方が引き出していたことの有力な証拠となるでしょう。カードで引き出されていたとしても、相手方が被相続人の通帳やカードを預かっていたり、他に被相続人の預金を引き出せる立場の人がいない場合には、相手方が引き出したという推認が働くといえるでしょう。

②については、介護保険における主治医の意見書や認定調査票などの証拠が市役所にありますので、それを取り寄せることになります。ただ、それだけでは立証として不十分なこともありますので、入院していた病院や通所介護を受けていた施設からカルテや介護記録なども取り寄せる必要が出てきます。これらの書類は5年の保存期間経過後は破棄されてしまうのが一般的ですので(介護記録は2年という場合もあります)、早めに証拠収集を行う必要があるでしょう。

証拠を揃えて訴訟提起したとしても、相手方からは、引き出した預金は被相続人の生活費や医療費等に充てたという反論が出ることも予想されます。しかし、引き出された金額が多額であれば、全て被相続人の生活費等に充てられたとは考えにくいでしょう。仮に生活費等に充てたものがあるとしても、まずはその領収証等の資料の提示を求めていくことになります。

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